父はバカである。
元々父は人を小バカにする癖があった。
多分、今もそうではないかと自戒しつつ生きている。
父は小学生の頃、習字と硬筆を習いに行っていたが、講師の先生を小バカにし、よく怒られた。
結果、行くのが嫌になってしまった。
加えて、土曜日の午後というのが拍車をかけてしまい、途中で投げ出して辞めた。
歳を重ね、非礼を詫びたいと思った頃には、ご高齢であった先生に会えるはずもなく後悔が胸に残っている。
父は、乱筆なのではなく、どんなに丁寧に書いても元から悪筆なのだ。
悲しいことに、字の汚さのエピソードは続く。
父が高校生の頃。
週刊少年ジャンプに掲載されていた、荒木飛呂彦先生の「ジョジョの奇妙な冒険」というマンガに出会った。
マンガに出てくる印刷された文字ではなく、荒木飛呂彦先生が書いてある文字をマネしていた。
そして、父は難なく習得した。
するとどうだろう。縦長で非常にクセの強い字が完成してしまった。
さらに大学のときになると小さなエピソードができた。
仲の良い友人は、その軽薄そうな見た目から、生活態度や言葉遣いを裏切らない成績を有していたが、明朝体の綺麗な字を書く男だった。
父は自分の悪筆を恥じた。
美文字だとか、ボールペン字などを習ったりもしたが、気を抜くと、非常に癖の強い縦長の字になる。
父は自署する必要がある際は、常に恥ずかしい思いをしてきた。
大好きなマルマン社のルーズリーフとバインダーを購入し、
それには父の資産や暗号はもちろんだが、
君たちが産まれてから今日に至るまでの大きなイベントや思い出も遺してある。
君たちが生まれてきて、父が綴ってきたメモや日記などから遺したものであるため
残念ながら1冊しか作っていない。
君たち二人で協議して所有者を決めて欲しい。
しかし、内容は純粋に記録であるため、何も君たちに助言することも教訓も
そこにはない。
加えて、非常に癖の強い父の直筆であるため、読み解くのに苦労するかもしれない。
そして、父は、君たちを愛してやまない。
同時に、「父は忘れる」を父は理解している。
父は、自分軸を見返すためにも、父のブログを好きに改変する事にした。
カテゴリも作った。
あとは、思いつくまま書いていくだけだ。
ノートには、この記事のURLの2次元バーコードを貼り付けている。
君たちが一体、どの年齢で、いつ読んでいるか想像もつかない。
少なくとも君たちが小学校低学年のうちに書き溜めているが、漢字は読めるだろうか?
そもそも論になるが。
父がこのブログに飽きて、君たちが読む前に閉鎖しているかもしれない。
だからと言って、わざわざ遺さない理由もない。
そして、安心して欲しい。
父の契約しているProton MailにはProton Driveというものがある。
このProton Driveに、「to beloved children」という、この記事のカテゴリと同じ名前のフォルダを作っている。
これから折にふれ書いていくであろう記事を、Proton Docにて記載し、全く同じものを格納していくつもりだ。
それにしても。
一体、なぜ、父は手書きで遺言を書かないのか?
冒頭、述べた通りで、妻(君たちの母)でも、父の手帳に書かれたクセの強い文字は読めないからだ。
繰り返しになるが、父は、これからいくつかの分野に分けて言葉を遺していく。
愛しき子供である君たちに言葉を遺していく。
これは、父の人生で得た教訓であり、反省であり、助言である。
願わくば、君たちが幸せで、このブログを読むことなく、助言が無意味で、無駄でありますように。
仮に読んだとした場合、父のフィクションのような人生を楽しんでもらいたい。