この本を買ったのはいつだろうか。
買った本屋さんは覚えている。明屋書店。九州・四国・中国地方の本屋さんのチェーン店だ。
買った時期も覚えている。夏。冷房を付けた車内、店舗の駐車場で一気に読みこんでしまった。
理由は後述する。
それから数年後。
本棚を整理してふと目に入ったこの本。改めて読み返してどう感じたかを綴っていく。
口ぐせの本として3冊目になる
本書「借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ」を久しぶりに読み返して感じたことは、口ぐせの本は3冊目なのだということ。
一番最初に読んだものは、東京農業大学と早稲田大学卒業し、医学博士であり農学博士である佐藤富雄(さとうとみお)氏の「運命を変える大きな力がもらえる本」である。
つぎに読んだものは、その佐藤富雄氏の弟子を自称しているモトヤマンこと、元山和也(もとやまかずや)氏の「口ぐせだけですべてが変わる──人生を180度好転させる80のことば」
そして本書である。
改めて、マザー・テレサの言葉を思い出す。
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
思考がネガティブであっても、良い言葉をつむぐことで思考も、行動もよい方向へ引っ張っていこうというのが口ぐせに関係する本の本質だと思っている。
典型的なヒーローズ・ジャーニー(神話の法則)
私が一番好きな洋画はマトリックスなのだが、ビジネスと同じくヒーローズ・ジャーニー(神話の法則)に則って物語が進んでいく。
ヒーローズ・ジャーニーと、昨今では非常に有名な物語を作成する手法であり、ハリウッド映画は基本的にこのヒーローズ・ジャーニーで作成されている。
本作でいえば、
① 「日常」 7年かけて念願のアパレルショップを開店するが、資金繰りの悪化
② 「冒険へのいざない」 借金が2,000万円まで膨れ上がる
② 「冒険への拒否」 死ぬかホームレスの2択を迫られるも動けない
③ 「賢者との出会い」 自称「宇宙さん」の出現
④ 「戸口の通過」 自称「宇宙さん」により、宇宙にオーダーする道を進む
⑤ 「試練・仲間・敵対者」 「白い猫を抱いたマダム」や「メーカー直営ディーラーの若い販売員」
⑥ 「最も危険な場所への接近」 該当箇所不明
⑦ 「最大の試練」 50万円の先払いが必要な東京の心理学セミナーへの受講
⑧ 「報酬」 借金2,000万円の完済
⑨ 「帰還」 そして幸せな現在から過去の自分への呼びかけ
著者である小池浩氏の講演やセミナー参加を促すフロントエンドとしての書籍の気配を感じた。
要約した内容
- 「自虐・懇願・夢心地」の口癖をやめて、「完了口ぐせ」に変える
- 「そんなにうまくいくはずがない」口ぐせは禁止する
- 宇宙が起こす奇蹟に定員はない
- 「ありがとう」を5万回言えば人生は変わる
- 「ありがとう」の他に「愛してる」を足す
- 顕在意識は、存在意識の6万分の1のエネルギーしかない
- 願いを叶えられるのは「タイムラグ」を超えた奴だけ
- 「よっしゃきた!タイムラグ」で「叶わないかも」に打ち勝てる
- あらゆることに紐づけて「やった!これで願いが叶ったぞ!」と唱える
- 相手の眉間・額に向かって「愛してるビーム」を放つ
- ドリームキラーは「自分が思っていること」を代弁している
- 宇宙銀行に預金が溜まる口ぐせを言う
- 自分の目の前に広がっている世界はすべて自分自身
- 叶いそうにないオーダーも実現する口ぐせを言う
- 願い事の期日が過ぎた瞬間に「やった!利子が付く!」と叫ぶ
- 神社では「願いごと」ではなく「おかげ様」を唱える
- 夫婦は共鳴している。お互いを100%信じていれば宇宙へのオーダー力は増す
- 男は「女神を幸せにしている俺っていい男」と言う
- エネルギーは愛と信頼
- 「私だけが幸せになっていいの?」なドMヒロインは今すぐやめる
- 「幸せな人だけが、幸せになれる」
- 欲しいものを見るたびに「お金はたっぷりある」と言う
- 「一寸先はヤミ」を「一寸先はヒカリ」と言い換える
感想として
自己啓発の皮を被った、スピリチュアル系の書籍である。
よくある「先払いの法則」は、「まずは与える」という観点から正しいが、手許資金がない中で無理な金繰りを行っても、よい結果にはならない。
口ぐせや、参拝時といった点では基本的なスピリチュアル系の系譜をなぞったものである。
なぜ、購入した当時は帰宅する前に、夏の車内で本書を読んだか。
ちょうど、そのころ。
子供が生まれ生活費がかさんでいくが、上司に嫌われ昇給は数百円。賞与は万単位で減額。というパワハラを受けており、転職と起業の両方を考えていた時期だ。
ただ幸い、要職についていたことで比較的時間的な余裕があり、起業に向かった。
サラリーマンのかたわら、開業届を行い、はれて個人事業主になった。
サラリーマンの後は、毎日数時間のどぶ板営業を続け、帰宅後はWEBマーケティングに勤しんだ。
早朝や土日には交流会に参加して顧客獲得のために奔走した。
ただ、結論として。私の場合は150万円の借金を抱えて、廃業している。
時間を売るアルバイトや、SNSアフィリエイトの方が良かったのではないか?と当時を振り返る。
読み返していて、当時の焦燥感や絶望感がよみがえり、なんとも複雑な気持ちになった。
ただ、当時から数年経って、子供も1人から2人になって生活費も学費も増えたが当時よりも経済的な自由は増えた。
オーダーは遅れてやってきたとも言える。
現実を忘れて読んでスッキリしたいカスタトロフを求めている方は、脳死状態で読んでもよいだろう。
しかし、藁にもすがる思いの中にいるのであれば、少しだけ違う。
成功の疑似体験をしたのだ。そのまま多幸感に浸るのもわかる。
読んで「気持ちがスッキリして終わり」にするのではなく、そろそろ次の段階に進もう。
それがこの本の本質である。